シュルレアリスムの恋 千と百の針水晶を抱いた黒山羊が 人魚の眠る軌条を走る 雨の日の煩さは木星の声に似ていて 杞憂の種を芽吹かせながら影は叫び死ぬ 涙を流す虚構船は英霊への餞 或いは屈託主従の残骸なのか (注②) ノーチラスは誰の名前も顔も覚えていない 手向けの花は意味と風化し露と消える 石英灯が晒した月末の楽譜 ジャイロスコープに乗せ奏でる 君が私が恐れていた言葉を羅列し 最後にこう吐き捨てる 「僕たち解り得ないんだ」 答えは変わらない どうしたって君はもう、 映写機の中でヘメロカリスは永遠を生き 果ての見えない白日夢に苛まれる 一匙の心変わりを お願いどうか許して 世界の終わりで最愛の嘘を吐いた 太陽に成り代わった妄想に耽るのは (火) 空(くう)を混ぜる為の失った蝋燭の焔(火) 夜が注いだ毒で反転するチアノーゼ 一線を越えさせた美学 シュルレアリスム 君は二度と私から離れられないことを知り 幸せな日々を過ごし やがてこう訊くのだろう 「僕がいなくなったら、お前は慈しんでくれるのか」 穏やかな笑みにまた私は献身する undefined undefined undefined